小説家たちの会話

◆ときどき、思うことがある。
 小説家たちの会話は恐ろしい。
 これはわたしにかぎったことではなく、他の作家たちも同じなのだ。

 小説はあくまでも、フィクションである。それゆえに、殺人や大量虐殺、あるいは暴行などといったシーンを多数描く。
 陰湿な殺し、計画的犯行、手に汗にぎる決闘などと、それはさまざまだ。
 
 過日、わたしは混み合う渋谷駅のホームにいた。携帯が鳴った。着信画面を見て担当者だとわかる。
 軽く前振り挨拶のあと、
わたし「そろそろ殺す」
担当「いや、まだ早いですよ」
わたし「じゃあつぎで殺しちゃおうか?」
担当「勿体ないんで、もう少し生かしておいて引っ張ったらどうでしょう」
わたし「ふむ、そうか。その手もあるな。じゃあ少し考えようか……」
 会話中に、そばにいた人が、じろりと振り返ったりする。こっちは平気な顔で、そんな話をしている。

 喫茶店や料理屋でもそうだ。
 飲み食いしながら、
「そうなると、一人殺すも二人殺すもいっしょだからね」
「数ではなく、悪っぽい殺しをしてインパクト与えるほうがいいんでは……」
「どんな手を使う? 顔を切り裂くとか、指を一本ずつ落としてゆくとか……残酷だなあ」
 隣の席の人は何者だろうと思うにちがいない。

 ほんと、こういった会話は日常茶飯事なのだ。
 それも至極真面目顔で話しあうのである。


 では、おあとがよろしいようで、また明日。



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by kingminoru | 2012-08-02 04:38 | 小説家(小説)