汽車のおっちゃん

■まずは訂正しなければならないことがある。昨日、トニーの命日と書いたが、なにを勘違いしていたのか、昨日ではなかった。21日、月曜日がそうである。しっかり確認もせず書くと、こういう些細なミスを犯すんだな。
 今日は早速新作に取りかかった。快調な出だしだ。ぐんぐん飛ばして書くぞ。
 
■今日は仕事のことをもう少し。スケジュール帳を再チェックして気づいたことがある。本日は一作を書き上げていなければならない日だった。それなのに、その作品は書き直しをすると決めている。ふうと肩を落として息をするのだが、それは仕方のないことだ。
 登山家がときに、険しく高く、人があまり極めていない、厳しい山に登りたいという欲求に似たものが、ぼくの中にもある。ほんとうはもっと平坦で歩きやすいコースがあり、楽に登れる山がある。そんな山を征することは難しくなく、自分の生き方にも一向に支障はない。それなのに、あえて難しい山にチャレンジしたくなるときがある。そんな苦労しなくても──という人もいるが、ぼくの思いを止めることはできない。結果、登攀に失敗する可能性だってなきにしもあらずだ。それなのに、やれるところまでやるんだ。必ずあの山を征服してやると、自分にいい聞かせている。
 
■おっちゃんからメールをもらった。60を過ぎてパソコンをはじめたおっちゃんのことを、ぼくはずうっと「汽車のおっちゃん」と小さいころから呼んでいた。国鉄に勤めていたからだ。
 おっちゃんは幼い頃からなにかと理解を示してくれ、ときに忠告──往々にしてぼくの進路についてだったはずだ──に来てもらったこともあるが、そんな気遣いに感謝しつつも、あまり聞かなかったような気がする。
 成人してからはあまり顔を合わせることもなく、田舎に帰っても会う機会はめっきり少なくなっている。それでも、最近メールのやり取りをするようになり、これまでの空白の時間が一挙に埋まったような気がする。もらうメールの一言一句に、親しみとやさしい思いやりを感じる。そんなおっちゃんが、ぼくの作品を初めて読んでくれた。
 以下はおっちゃんがぼくにくれたメールの一文だ。
『見事な書き下ろし読ませてもらった。
3軒目の書店でようやく探し当てた。
稲葉稔の作者名を見つけ、心躍る思いで買い求め、6時間の時間をかけて読破した。
すごい。どこにこんな能力が隠れていたのか?
タンスを引き出し、上に登って遊んでいたやんちゃな子供時代からは想像もつかない。
胸の詰まる思いで読ませてもらったのは初めてだよ・・・・がんばれ』
 ちと誉められすぎだが、正直嬉しかった。
 で、おっちゃんが読んだのは『思案橋捕物暦』(学研M文庫)だった。
 今後も期待に添えるように頑張らねば。さあ、仕事しよう。
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by kingminoru | 2005-02-18 16:59 | 小説家(小説)