女は怖い?
■なんだもう週末か。早いなあ。するとすぐ来週だな。まいったな。
最近執筆速度が低下している。どうにかしなければならないと思うが、なかなか前に進んでくれない。これを牛歩というのかな。まあ、焦ってもしゃあないし。
午前中原稿チェックと整理手直しをしたら、もう昼だ。さっき朝食を食ったような気がするが……そして昼飯を食って、しばらくするともう晩飯かよ……。
一日を早く感じるから、一週間を早く感じるのだな。
■「角処」という店ができた。天草出身のゆうちゃんが、若い兄ちゃんを雇ってやっている。料理人・ゆうちゃんの腕はたしかだ。味はいいし、人柄もいい、おまけに店の雰囲気もいいし、値段も安い。
そんな店に、おれは羽田美智子ふうのいい女を連れて入った。一階のカウンターには見向きもせず、二階座敷に女を案内する。もち、下心大ありだ。
料理と酒の用意ができると、二階には他の客は上げるなとゆうちゃんに厳命し、早速女を口説きはじめた。女は最初その素振りを見せたくせに、おれが近寄ると離れようとする。だからおれはますます迫る。迫って腕をつかみ、肩を抱きよせた。
そのときだった。おれの頬が思い切りはたかれた。
鼓膜がうわ~んと音を立てて鳴った。おれは一瞬凍りついた顔で、信じられないように目を瞠って、じーんと痛む頬に手をあてた。
女はごめんなさいというようなか弱い表情になった。おれは燃え上がった。獣になって、女に飛びかかった。
だが、女の抵抗は激しい。爪を立ておれの顔を引っ掻く、ばたつかせる足がおれの股間を直撃する。おれはうめく。だが、それをこらえて女に抱きつこうとする。そこをかわされ、おれは柱に顔をぶつけて鼻血を流した。
頭にきたので、女の腕をつかむと、ワンピースがびりっと破け、ブラジャーの線が肩にのぞいた。女は顔を真っ赤にしておれを引っ掻く。Tシャツが肩から抜け落ち、胸のあたりが破けた。もう我慢ならないと、おれはベルトを外してズボンを下ろした。
すると女はその隙をついて、階段を駆け下りていった。おれはどたばたと追いかける。
女は店の戸の前で振り返った。ワンピースが奇妙に乱れており、肩にはやはりブラジャーの線がのぞいていた。彼女は袖をめくりあげてその線を隠し、おれをにらみ、
「馬鹿!」
一言罵声を発すると、ばしゃんと戸を閉めて出て行った。
おれはズボンを半分ずりおろし、破けたシャツ姿だった。頬には女の爪痕四、五本がくっきり残っており、鼻血がたらたら垂れていた。
そして、おれは店のカウンターに座っている客の視線を一身に浴びていた。
■そんな想像の話をしながら、昨夜白木ちゃんと飲んでいた。やつは椅子からずり落ちそうになって、顎が外れるといって笑った。カウンターで料理を作っていたゆうちゃんは、腹の皮がよじれるといって苦しそうに笑っていた。
こんな話はすらすら書けるのに、肝心の仕事のほうは進まねえぞ!
by kingminoru | 2006-07-07 12:51 | 小説家(小説)