オトーサン逝く

b0054391_16141642.jpg■オトーサンと慕っていた荒金菊之助さん逝く。
 昨日、廣済堂担当の大西さんがゲラを持ってきたので、近所で飲んだのだけれど、2軒目に行って、その訃報を知る。17日に亡くなり、家族だけの密葬を行ったそうだ。
 聞いた瞬間に、どっと涙が溢れてしまい、大西さんに恥ずかしいところを見せてしまった。すみません。

 オトーサンとはぼくがこの街に越してきて以来の付き合いだから、かれこれ4年近くになる。週一回、あるいは二回ぐらい、「よし」という小料理屋で会い、楽しい話をした。戦時中のことは何度も聞いたが、その他に事業の話も聞かせてもらった。
 正月には家に呼ばれ、酒を酌み交わした。柿がなったからと持ってきてくれ、庭の柚がなりすぎているので、ちぎりに来いといわれ行ったこともある。
 好物の焼き鳥を食べたいというので、供をしたこともあった。短い付き合いだったが思い出は尽きない。

 96歳だったので、100歳まで生きてほしいと思っていたが、じつに残念なことだ。
 健啖家でジョークが好きで、ちょっぴりスケベで、そして株や国内外の動静をいつも気にしていた。

 しかし、オトーサンは今も健在である。光文社から出させてもらっている『研ぎ師人情始末』のシリーズの主人公・荒金菊之助は、オトーサンの本名そのままである。
 だから、オトーサンは小説のなかで生きつづけている。
 これから線香をあげにゆく。
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by kingminoru | 2006-10-24 16:04 | 小説家(小説)