ドキュメント 交通裁判所

b0054391_16473286.jpg■スピード違反で捕まったので、簡易裁判所に行って来る。二日前のことである。
 受付は9時からだから、早めに家を出て車で向かう。簡易裁判所は静かな住宅地と広い公園に近い丘の上にあった。建物は古く、壁はくすんでいる。殺風景な佇まいだ。
 着いたときには先着組が何人かおり、玄関脇の喫煙所で煙草を吸ったり、手持ち無沙汰に時間をつぶしていた。みんな冴えない顔だ。わたしもそうなのだろうかと、澄んだ秋空を仰ぎ見た。
 こんないい天気の日に……。

 受付がはじまり、違反切符に署名捺印して待たされた。
 それから警察官(私服)の待つ部屋に呼ばれ、違反に間違いないかを聞かれる。否定しようがない。違反したのだから来たのだ。
 間違いないと認めると、廊下で待ってくれといわれる。

 廊下の長椅子に腰掛け、つぎの調べを待つ。今度は検察官の取り調べを受けるのである。
隣の椅子で「終わったら木更津でも観に行くか」と、いっている男がいる。連れの女性はどうやら彼女らしい。木更津とは『木更津キャッツアイ』のことだろう。
 名前が呼ばれ、検察官取調室に入る。痩せて眼鏡をかけた、顔色の冴えない検察官だった。あれこれ訊問されるのかと思ったが、調書を読んで、それに間違いないかという。
 わたしはまたもや認める。それで取り調べは終わりである。

 つぎに2階にある「道交控室」で待たされた。リノリウムの床と天井の蛍光灯、そこに十数客の長椅子が置いてあるがらんとした控え室だ。
 壁には『今日もさわやか 歩行禁煙』『火の元はまさかと思う投げ煙草』などという標語が貼ってある。
 正面の受付室は、曇りガラスになっており、中の事務員たちの顔が見えないようになっている。
 やがて、その受付の小窓が開き、名前を呼ばれた。生年月日をいってくれという。わたしは生年月日をいう。すると、略式命令の謄本を渡された。
「一階に罰金納付受付がありますから、そこで罰金を払ってください」
 女の事務員がそういう。

 わたしは謄本を持って、一階に下りる。その謄本に罰金の額は記されていなかった。一階の罰金納付受付で、その謄本を渡すとすぐに罰金額が提示された。
 80000円――。
「高いなあ……」
 わたしは思わずつぶやいた。事務員は何もいわない。
 持ち合わせがないらしく、銀行に行く違反者の姿もあった。分割は利かないのだ。
 しかし、この高い罰金はなんに使われるのだろうか? 全国で徴収される罰金の額は年間どのくらいの額になるのだろうか? 教えてもらいたいものだ。
 まあ、違反するほうが悪いのではあるが……。
 罰金を払ったわたしは安全運転で帰ってくる。
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by kingminoru | 2006-11-08 16:41 | 小説家(小説)