一升半飲める男の話

■本日は午前中で、一仕事片づけた。めずらしい。
 こんな日はゆっくりするのだ。もっとやることはあるが、ガッついてやらなくてもいいだろう。と、自分にいいわけをする。

■名前を証すと可哀想なので、その男のことをSとする。
 過日、Sといっしょに飲みに行ったときのことだ。わたしはすでに止まり木で飲んでいたのだが、仕事帰りのSがいつものように「おす」といって入ってきた。
 そこでうだうだ飲みはじめたのだが、Sは早く酔いたいのか、日本酒にしようと切り替え、わたしにも勧める。
 
 わたしは日本酒は弱いから、これでいいと遠慮をして焼酎を飲むが、やつは飲め飲めと勧めるる。勧め上手は天下一品だ。そこへママがやってきたので、Sはすかさずママにも酒を勧める。酒好きのママは、素直に受けて飲む。そして、
「Sさんはお酒強いでしょう」
「うん、おれは強いよ」
 と、Sは自信たっぷりにいう。
「どれくらい飲めるの?」
「一升半」
 Sの豪語に、隣にいたわたしはえっとやつの顔を見た。
 それでもやつは平生と変わらぬ顔で、
「一升半ぐらい飲んでも、二日酔いもないし、ちょうどいいぐらいかな」
「お、おまえ、そんな強いのか! 知らなかった」
 驚くわたしに、Sは飲め飲めと勧めるが、わたしは極力遠慮した。

 それから彼は四合ぐらい飲んだだろうか。つぎの店に行こうという。
 勘定をして先に表で待っていると、Sが遅れて出てきた。そして、わたしにいう。
「はあ、酔った。ふらふらだあ。ああー、酔った」
 本当にSは酔っぱらっていた。呂律は回っていないわ、千鳥足でジグザグに歩くわ、奇妙な笑い声をあげるわ……。
 しかし酔っぱらったついでにもう一軒行こうという。仕方なくカウンターバーに行ってワインを飲んだ。酔っぱらっているやつはワインは苦手だ苦手だを連発。大して飲んでいないのにつぎ行こうという。ついでに、おれはもう金がないというから払ってやる。
 そして、つぎの店に行ったら、やつはそのままカウンターに突っ伏して寝てしまった。わたしはやつの分まで払って店を出た。

 何が一升半飲めるだ! しかし、面白いではないか。たまにはそんなやつがいても。今度、本当に一升半をSに飲ませてやろうと企んでいる。

■昨夜の酒量:焼酎1合、紹興酒1合、缶ビール350㎜l一本。
★ちらっとのぞくミーチャ。何見てるの?
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by kingminoru | 2007-03-17 11:23 | 小説家(小説)