家賃30万の部屋

□心頭滅却すれば、火もまた涼し――の日ですな。
 なんせ表は38度。真夏日ですわ! 梅雨もこずに真夏かいな。

□そんなことを思うわたしは、友達と共同で仕事場を借りることにした。これがなかなか広い部屋で、窓も大きく、見晴らしもいい。その窓のそばには長いカウンターがついている。デスク代わりに十分使える。
 だがしかし、その部屋には前の人が置いていった机がある。滅茶苦茶ある。二〇から三〇はある。いやもっとか……。以前は何かの教室に使っていたのかもしれない。
「この机は使っていいのかな」
 と、相棒に問えば、
「自由に使っていいということだったよ」
 と、答える。そのついでに相棒は、
「七〇万はいつ揃う?」
 と、聞く。
「は……?」
 そうか、折半で借りるのだから七〇万を出さなければならぬな。敷金・手数料・前家賃を入れて一四〇万。月の家賃は三〇万らしい。
 そんなに毎月出費が増えるのかと、悩むわたし。悩みついでに部屋の外に出ると、そこは細い通路。はたと気づけば、後戻りできない。下に降りようとのぞくと、目もくらむような高さで、実際めまいを起こしそうになって柱にしがみつく。
 高所恐怖症だからどうやってそこから降りればいいのかと、泣きたくなる。ただ左に降りれば何とかなりそうだけど、真ん中に蟻地獄のような穴があり、砂場に足を取られてその穴に吸い込まれそう。
 それでも脱出を試み、そこに降りると、突然、近くのドアが開き、OLふうの女が二人出てきて、細い階段をおしゃべりしながら上ってゆく。わたしもつづく。
 何だ、ここから出ればよかったじゃないかと、ほっと胸をなで下ろす。

「ぐううぅ……」
 突然、うなり声がして、わたしは目を覚ました。
 アニーの首に腕を置いていたのだ。それをいやがってアニーはうなったのである。
「ぐうぅ……」
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by kingminoru | 2007-06-17 13:51 | 小説家(小説)