子供が消える
だから、少し昔のことを思い出す。
写真はわたしがまだ物心つくかつかないころの町の風景だ。
空は真っ赤な夕焼けに染まり、街角の映画館ではこんな映画を上映していたのだな。わたしがこの映画を観たのは、ずっとあとのことである。
団塊の世代の人たちは多分観ていると思う。それにしても遠くて近い、古き良き時代であった。
あのころわたしの故郷にはたくさんの子供たちがいた。夕暮れともなれば、子供たちの走り回る姿が野や畑の畦道に見られた。だが、今、田舎に帰ってもそんな子供たちの姿を見かけることはない。
子供はどこに消えたのだろうか……。
by kingminoru | 2005-09-09 14:52 | 小説家(小説)