すごい画家に会った!
■06:45起床。体調イマイチ。朝食もあまり食えなかった。
それにしても、昨日は面白い人に会った。
■すごい人だった!
その人は画家である。米粒に普通の太筆で人の名前や、絵を自由に書くことができるらしい。ゴマ粒にも書けるという。へえ、そりゃたいしたもんだと思っていた。
いや、そういう人が近所にいるとは、以前から聞いていたのだが、その人にナマで会ったのだ。スポーツジャケットにキャップを被った普通のおじさんだった。見た目はね。だけど話がすごい。
米粒に2000字を書いたというのである。え、米粒にですか? 2000字ですか? 聞かずにはおれなかった。画家はあたりまえだ当然だという顔でにっこりうなずく。
名前を聞いたが支障があるといけないので、ここでは画伯としておく。
その画伯がどんなものを描いているかというと、メルヘンチックな子供向けの絵らしいのだ。そこまではよいが、「大体、名刺サイズで二百万はするんだよ」とおっしゃる。
えー! 名刺サイズで200万!? そんなすっごい人なの! びっくりした。
すごいですねえと驚いていると、自宅は藤沢の鵠沼にあるという。しかも500坪。坪単価は250万らしい。お金持ち~。
「子供を住まわしてアトリエとして使っているんだ」金持ちい~。
「佐世保にも家があるけど、ぼくは佐世保では高額納税者のトップだったけど、ジャパネット高田君が出てきたら二位になっちゃった」やっぱ金持ち~。
「それで今はどこに住んでるんですか?」
「今はすぐ近くの大曽根のアパート」
アパート……? 金持ちなんでしょ……。
「いや、そこら中にそんな部屋を借りているんだよ」
へえ……と、ぼくのテンションが少し下がってきた。
「そこの先にパチンコ屋あるでしょ。第二環状のこの先に。あそこは稲○会から安く買い取ったんだよ。いやあ、安すぎてねえ」
嬉しそうに画伯は笑う。まあ、金持ちなんだからできるんだろうが……。
その後、ぼくは絵を見せてくれといった。じゃあ今度と、画伯はいう。画集とかも出してるんでしょ。出してるよ。じゃあ見せてくれというと、もうないかなと逃げる。あれ、おかしいじゃんと、ぼくは相手に気づかれないように猜疑の目になる。
その後、画伯はやくざとも仲がいいとてんで違うことを話しはじめた。
歌舞伎町はもうあまり行きたくないね、あそこ行くとうるさくてとおっしゃる。ふうんと、聞くぼく。
「そうそうぼくは馬30頭持っているんだ」
「え、それって競走馬ですか?」
「もちろん、ぼくは少ないほうだ。友達は何百頭も持っているよ」
嘘だ~、そんな持ってる人いるわけないじゃんと内心で思う。
「平浩二って歌手いるでしょ、あれ、おれの弟」
知ってる「バスストップ」がヒットした歌手ね。でもそうなのと、ぼくの目は限りなく疑わしい。その後、画伯は逃げるようにして帰っていった。
そして、ぼくは画伯のいったことを少し調べてみた。
まず名前からいこう。画伯が平浩二の兄なら、姓は平である。
しかし、佐世保の高額納税者に平姓はどこにもない。ジャパネット高田は三位でした。その下にも平姓はありませんでした。
藤沢市鵠沼の土地価を調べた結果、坪250万の土地はありませんでした。高くても120万円でした。
パチンコ屋の件は、歯医者の広瀬先生が知っていて、あそこのオーナーは女の人だよと、あっさり。
名刺サイズ一枚が200万の値がつく画家さんだったら、誰でも知っている名のはずだということでした。画伯の名を出したら、知人の画商は知らないといい、日本の画家の名前などが載っている年鑑にも出ていないそうです。
それじゃあの画伯は何者なのだ? ただの法螺吹きか? はたまた名うての詐欺師?
ああ、ぼくは名刺を2枚も渡してしまったぞ。大丈夫かな……。
by kingminoru | 2004-11-02 14:42